座り続ける危険~体の内側からアンチエイジング
座り続ける危険
無重力
宇宙飛行士が地球に帰還する際、海面の宇宙船から救出される映像を見たことがあるだろうか?
数人に担がれて、運ばれている姿は何とも痛々しい限りである。
あまり疑問にも思わなかったが、そのときの彼ら彼女らは、一人で歩行することができない状態にあったのです。
一人で歩行ができないほどの体となった原因は、無重力にあります。
宇宙に長期間いると、地球上での10倍の速さで老化が進むそうで、老人の1年が宇宙の1ヶ月に当たるそうです。
筋力の低下、骨密度の低下、認知機能の低下や脂質・糖などの代謝異常、循環機能の低下、視力の低下とあらゆる悪影響が起こるとの事、これは大変な脅威です。
その最大の原因が無重力にあるのです。
耳の中の内耳という場所にある“耳石”という器官が影響していたことが明らかになりました。
人体への影響
骨は圧力を受ければ太くなり、圧力が減るほど細くなる性質を持つため、長期間無重力状態にさらされるとカルシウムが尿に排出されるようになり、腎臓結石の要因が高まり、骨がもろくなる。カルシウムが不足すれば骨粗鬆症のリスクが大きくなる。
米インディアナ大学での研究結果では、1時間座り続けると大腿動脈の機能である血液を循環する血管の機能が50%低下すると発表している。大腿動脈は、骨盤から鼠径部(そけいぶ)を通って、ひざ上部まで血液を送る体内で最大級の血管である。
その大腿動脈が座ることによって、血管が圧迫され、下半身への血流を悪くしているそうである。
それにより、心臓への負担が大きくなり、心臓や脳の病気発症のリスクが高くなるとの事である。
日常生活における無重力
無重力が人間の体にとってよくないことはわかりましたが、私たちの日常の生活でも無重力の状態を引き起こす行動がありました。
それは、長く座り続けることです。
長時間座ることで無重力と似た状態が体に起こることが最近わかりました。
1時間座り続けることで、無重力と同じ状態を引き起こし筋力の低下、骨密度の低下、認知機能の低下、免疫力の低下と運動能力も低下します。
これも、宇宙での無重力と同様、耳石が影響していると考えられています。
耳石は重力を感知する器官で、たくさんの毛の上にのって、体が傾くと重力に毛が引っ張られ、直線方向の動き、重力、遠心力を信号で脳へ送り、体の傾きを感知します。
耳石は全身の筋肉と繋がっているため、体の傾きを耳石が感知すると、全身の筋肉へ伝わります。
また耳石は自律神経とも繋がっているため、細胞の働きが活発になり血流をよくなります。
無重力では、耳石が浮かんだ状態になるため、耳石が動かない状況になり、自律神経の動きが鈍くなり細胞の働きや血流も悪くなります。
座り続けることが無重力と同じ状態を引き起こし、筋力、骨密度、認知機能、循環機能、及び免疫力の低下を招いていることがわかりました。
昔と違い、外で働くよりオフィスの中で座って仕事をすることが多くなった現代人の事務職、技術職のビジネスマンやOLにとっては由々しきことです。
耳石を動かす
では、無重力状態を回避し、耳石の働きを活発にするにはどうしたらよいでしょう。
耳石を動かすには、長時間座っている状態が続く場合、30分で一旦立ち上がりましょう。
歩くことよりも立ち上がることの方が耳石は活発に動くそうです。
これは、NASAの実験データの結果です。
ビジネスマン、OLの皆さん、日頃座りっぱなしが多い皆さん一度、ぜひお試しあれ。